第51回(平成26年4月30日)

穀倉西蒲原の農地や集落を守る 新川河口排水機場(新潟市西区)

1 西蒲原地域における排水改良の歴史

 低平で幾度も甚大な湛水被害を受けてきたこの地域の排水改良の歴史は、江戸享保年間における大河津分水の請願から三百年にもわたります。地域内には鎧潟・田潟・大潟(通称三潟)を始めとする多くの潟や沼がありましたが、文政元年(1818)にそれらの水を日本海へ抜くための新川の開削に着手して以来、様々な排水改良を進めてきました。  新川河口排水機場を始めとして多くの排水機場や排水路が建設されたことで、干拓や乾田化が進み今日のような全国有数の穀倉地帯へと変貌しました。西蒲原地域の約6割はポンプによる強制排水区域で、これらの排水施設が農地や集落を守るために重要な役割を果 たしています。
湛水地での稲刈り状況  今でこそこの地は名だたる水田王国であるが、かつては3年1作、「鳥またぎ(鳥も食わない)米」などと揶揄された不毛の地であった。
 新川は低平なこの地域の悪水を日本海へ排除するため、人工的に開削された。途中で西川と交差することから、西川の底を潜らせ日本海に流している。 新川暗閘

2 新川河口排水機場について

 普段は自然排水樋門を開けて日本海へ排水していますが、降雨により新川の水位が計画水位以上、又は洪水の恐れがある場合などは自然排水樋門を全閉しポンプを運転して排水しています。
 ここには直径4.2mの羽根車を持つ排水ポンプが6台あり、1秒間に240?の水を排水することができます。これは25mプールを1.5秒で空にする日本最大級の排水量となっています。
ポンプ設備一覧
新川河口排水機場  

3 国営新川流域農業水利事業による改修

 新川河口排水機場は昭和46年1月から運転を開始しましたが、河口に近い地理的条件から海水による腐食が進行し、施設の老朽化に伴い維持管理費が増嵩してきました。このため平成18年度から「国営新川流域農業水利事業」によりポンプ設備の全面更新及び建屋 等の既設構造物の耐震補強・補修に着手しています。
平面図  

4 なぜ西蒲原地域にポンプは必要なの?

西蒲原地域の地形を見てみると、田んぼ等の農地や私達の住んでいるところは日本海や周りの河川の水位よりも低いところに位置していることから、排水を自然に流すことが不可能であるので、ポンプによる排水に頼らざるを得ない状況となっています。 そのため、ポンプは地域の農業基盤を安定するための施設であると同時に、私達のくら しに不可欠なものとなっています。
説明断面図  

参考文献

  • 西蒲原土地改良史(西蒲原土地改良区)
  • 西蒲原平野二〇〇年のあゆみ(西蒲原土地改良区)
  • 北陸農政局ホームページ

    アクセス

  • 新潟市西区
  • JR越後線 内野駅から徒歩25分
  • 国道116号新潟西バイパス曽和ICから3.8km

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