第43回(平成25年5月17日)

自然とリゾートとの共生〜あてま高原リゾート〜(十日町市)

「雪と緑のマイ・ライフリゾート新潟構想」と あてま高原リゾート

あてま高原リゾート  あてま高原リゾートは、「余暇を利用して行うスポーツ、レクリエーション、教養文化活動等の多様な活動に資する施設について、民間活力の導入と整備促進の措置を講じ、ゆとりある国民生活の実現、地域振興を図る」ために制定された「総合保養地域整備法(リゾート法)」に基づく新潟県の「雪と緑のふるさとマイ・ライフリゾート新潟構想」の一環として開発が進められました。
 1989年(平成元年)2月には、新潟県・十日町市・中里村(現十日町市)の3自治体と民間企業27社の出資による第三セクター「株式会社当間高原リゾート」が設立され、翌1993年(平成5年)5月に開発基本協定、環境保全協定を締結、農地法・森林法による開発許可を取得して建設工事に着工し、インフラ整備を含む開発費425億円を投じ、約3年半に及ぶ造成・開発工事を経て、1996年(平成8年)10月に「あてま高原リゾート ホテルベルナティオ」が開業されました。

あてまバードサンクチュアリ

あてまバードサンクチュアリ  あてま高原リゾートでは、「自然とリゾートとの共生」をコンセプトに掲げ、様々な自然との共生への取り組みを行っています。その一環として、多様な水辺環境の創出を目指して1996年(平成8年)にビオトープ「いのちの水辺」、2003年(平成15年)には水辺環境の復元・創出を目指した「あてまバードサンクチュアリ」の整備を行うとともに、豊かな自然をホテルご宿泊のお客さま等にご案内したり、次世代層を中心とした環境教育の場などに活用しています。
 このような取り組みが評価され、「当間高原リゾートにおける水辺を主体とした環境の創出」は、環境の保全・創造に資する概念形成・理論構築等に貢献した先進的あるいは国際的な土木工学的研究に授与される「土木学会 環境賞」を平成15年度に受賞しました。
 「あてまバードサンクチュアリ」の計画地点は、従来、水田と畑で構成された里山の環境でした。しかし、手つかずとなった水田は一面のヨシ原と化し、動植物相が単調な環境となっていました。そこで、多様な水辺環境の復元・創出を目指し、棚田状の形状を活かした大小18の池で構成するバードサンクチュアリを造成することとしたのです。
 造成にあたっては、「敷地外から動植物の移入は行わない」「現場発生材を極力活用した施工を行う」「人工材を極力使わない」をコンセプトにして、例えば、剥ぎ取った表土は一時仮置きして覆土に利用することにより、埋土種子の保全を行い自生の植物の回復を助ける取り組みを行うなど様々な工夫を盛り込みました。このようにして創出された総敷地面積5haの「あてまバードサンクチュアリ」は、在来種を主体とした生物相の多様な水辺環境となりました。

「あてま自然学校」から「あてま森と水辺の教室ポポラ」へ

あてま森と水辺の教室ポポラ  あてま高原リゾートでは、開業以来ホテル内に「あてま自然学校」を組織し、当間山麓に広がるブナ林や、前述のように創出された水辺環境を活動フィールドとして、宿泊のお客さまや地元の小中学生を対象とした様々な自然体験プログラムを通じて、自然環境保全活動の必要性をお伝えするとともに、動植物や生態系の調査・研究・維持管理に取り組んできました。
 これらの調査・研究の結果を踏まえ、活動をさらに発展・展開させた取り組みが「あてま森と水辺の教室ポポラ」です。ポポラでは、当間高原の里山を舞台にした自然体験プログラム(ブナ林散策、スノーシュー、森のピザ・バームクーヘンづくり体験、植林体験など)により、人と自然のかかわりによって築かれた自然環境の仕組みと大切さを理解していただくとともに、持続可能な社会の実現に向けての気付きを伝えようとしています。また、自然観察指導員(インタープリター)の養成講習の開催、小学校各学年の学習指導要領に沿った自然体験プログラムを活用した地元小学校授業のお手伝い、地元の商工会や自治体のイベントへ協力など、地域と協働した活動も積極的に実施しています。

 2010年(平成22年)には、「森のホール」「水辺のホール」の2つの建物が完成しました。ポポラのゲート(インフォメーション)の役割を担う「森のホール」は、旬な自然や自然体験プログラムの情報発信の拠点として、また、「水辺のホール」は、ポポラの自然体験活動の拠点として建設され、これにより、より一層充実した活動が展開できるようになりました。

森のホール」は、緩やかにうねる谷を渡る4本の丸柱に支えられた橋上の版の上に、大きな1枚の屋根から独立した、「入れ子」状に挿入されています。屋根はキャンティレバーで大きく張り出した深い軒下空間をつくり、また、開口部は大きく自然に開け放たれるようになっていて、内外の空間が連続する「縁側」空間を生み出しています。
水辺のホール」は、観察フィールドに面した斜面地に建ちます。傾斜する地面に沿うようにスキップして床が配置され、それらを覆うように1枚の大きな屋根が架けられています。
森のホール 水辺のホール

あてま高原リゾート ホテルベルナティオ

ホテルベルナティオ  四季折々の景観を楽しめる新潟県・十日町。中でも広大な大地、清らかな水辺、そして緑豊かな森に囲まれた当間高原に「あてま高原リゾート ホテルベルナティオ」はあります。もとより自然に恵まれたこの地をイメージして、イタリア語のBel Paese Natio=「美しきふるさと」にちなみ、ベルナティオ(BELNATIO)と名付けられました。
 ベルナティオは、360haにもおよぶ広大な大地に500人が収容可能なホテルやコテージ、プール・スパなど1年を通じてさまざまなアクティビティを満喫できるフォーラムセンター、自然の起伏を最大限に生かした18ホールの本格ゴルフコースをなど有し、さらにブナ林や季節ごとの花々など上質な環境が整い、四季折々にさまざまな表情を見せてくれます。
 春、雪解けとともにフキノトウが顔を出します。新緑の季節には爽やかな風が緑一色のブナ林を通り抜け、ルピナス・ダイアンサス・ジャーマンアイリスなどの花々が美しく咲き誇ります。夏が近づくにつれ緑は深みを増していき、そよぐ風が木漏れ日を揺らし、初夏の夜空を水辺のホタルが美しく演出してくれます。さらに夏が進むとオニヤンマやイトトンボなど、様々な種類のトンボが飛び交い、森にはセミの元気な声が響きわたるなど、真夏の主役である昆虫たちの賑わいも増していきます。秋の「花だいら」には2haに200万本のコスモスが咲き誇ります。鳴く虫の音色とともにススキの白い穂が敷地一面に広がり、木の実が生きものたちを育みます。あてまの山ではブナ林が黄色に染まり、その後間もなく落ち葉が天然の絨毯を作ります。そして、少しずつ冬支度を始めます。大地が真っ白に雪化粧される冬。全てを包み込む雪は、ある時は冷たく、またある時は太陽に照らされ、荘厳な世界を醸し出します。
ホテルベルナティオ
 このような四季の移り変わりの中で、グリーンシーズンには、サイクリングやフィッシング、ゴルフなどあてまの自然を間近に体感できるアクティビティが、またスノーシーズンには、スノーシューイングやスノーチュービングをはじめお子さまから大人の方まで安心して遊べるアクティビティが楽しめます。
ホテルベルナティオ
 ヨーロッパのロッジを思わせる館内にはさまざまな施設が完備されています。窓に映る広大な自然を眺めながら、洋食を中心とした料理が楽しめる「レストラン アイリス」。落ち着いた雰囲気の店内で日本海の幸、地元の山菜、にいがた和牛など、旬の山海の恵みが楽しめる「郷土料理 ぶな」。和洋中の各シェフが手掛けるバリエーション豊かな料理をブッフェ方式で楽しめる「ダイニングルーム コスモス」。客室は、シーンに合わせてお好みで選べる5つのタイプ。いずれもゆったりとした空間を提供しています。大浴場はあてま温泉で、全面のガラス窓から湯けむり越しに四季折々の眺望が楽しめる本館の「月見の湯」と当間高原を眼下に見渡せる別館の「見晴らしの湯」の2つ。宴会場、結婚式場も完備しています。
ホテルベルナティオ
 個性豊かな本格リゾートゴルフコース(18H)の最大の特徴は、当間高原のなだらかな起伏を繊細かつ大胆に取り入れたジョン・マイケル・ポーレット氏による設計コンセプト。その完成度の高さをホールごとに変化する眺望と多彩な攻略ルートから体感できます。
ホテルベルナティオ
 自然を愛しみ、楽しみ、癒されるひととき・・・、ベルナティオではそのすべてを満喫できることでしょう。

あてま高原リゾート周辺のみどころ

≪大地の芸術祭の里≫

 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、越後妻有地域(十日町市・津南町)の里山を舞台に、2000年(平成12年)から3年に一度開催されている世界でも最大規模の現代アートの祭典です。2012年(平成24年)には、第5回展が開催され、44の国と地域から310組のアーティストが参加し、367点のアート作品が展開されました。会期終了後は「大地の芸術祭の里」として、約200点の常設のアート作品、越後妻有ならではの自然や文化、魚沼産コシヒカリを代表する多様な食など、五感を通した感動や体験を訪れるお客様に提供しています。
 越後妻有里山現代美術館「キナーレ」、まつだい「農舞台」、絵本と木の実の美術館などはぜひ訪れていただきたい人気施設です。
棚田
イリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」(撮影 中村脩)
LOST #6
クワクボリョウタ 「LOST #6」(撮影 中村脩)
火焔型土器
国宝火焔型土器群

≪国宝 火焔型土器≫

 力強く華やかな文様をもつ国宝火焔型土器は、十日町市の笹山遺跡から発掘されました。日本の原始美術を代表する優れた造形美は世界から注目を集め、火焔型土器を含む笹山遺跡出土品928点は1999年、国宝に指定されました。
 火焔型土器は、今から約5000年前の縄文時代中期中ごろに造られたと推定され、大きく立ち上がる「とっ手」が、燃え盛る炎のように見えることから命名されました。火焔型土器の用途は分かっていませんが、その形状から祭りなどに用いる非日常的な土器ではないかと考えられています。 十日町市博物館が収蔵展示しています。

≪名湯松之山温泉≫

松之山温泉
松之山温泉
 松之山温泉は、新潟県と長野県の県境にたたずむ山あいにある温泉です。今からおよそ700年前、一羽の鷹が毎日同じ場所舞い降りるのを木こりが見つけ、不思議に思い探ったところ、そこにこんこんと湧く熱泉を発見したという伝説が残っています。戦後の一時期には塩を採ったという記録があるほど塩分が強く、冬でも湯冷めしません。このため、古くから越後三大名湯に数えられ、その薬効の高さから有馬・草津と並び日本三大薬湯にも数えられています。

アクセス

  • 自動車の利用:関越自動車道 塩沢石打I.CからR353で約40分  越後川口I.Cから約40分

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