第41回(平成25年3月29日)
地域に開かれたダム 三国川(さぐりがわ)ダム(南魚沼市)
三国川ダムは信濃川総合開発計画の一環として、信濃川水系魚野川の右支川三国川の新潟県南魚沼市清水瀬地先に建設された中央コア型ロックフィルダムです。三国川ダムは「地域に開かれたダム」として、また水源地域における拠点空間として、地域の人たちに親しまれ利用されるダムを目指して整備・活動を進めてきました。ダムの周りにはオートキャンプ場や運動公園など様々なスポーツ・アウトドア施設が整備され、現在では年間30万人以上もの方が訪れています。
三国川と三国川ダム
三国川は、越後沢山にその源を発し、下津川山に下津川、越後三山の一つである中の岳に発する黒又沢川が十字峡で合流した後、西流し、下流域で芋川、五十沢川を合わせて魚野川に合流する流域面積153.4km2、流路延長23.3kmの急流河川です。三国川は、きれいな水で親しまれ、また流域は積雪深が4〜5mにも達する日本有数の豪雪地帯で、この豊富な融雪水を利用して古くから農業や養魚、発電が行われています。一方で日照りによる水不足や、大雨のたびに氾濫するなど多くの水害を引き起こしてきました。特に昭和44年8月洪水は未曾有の大出水で、治水事業の重要性が見直され、地元の早期建設を要望する陳情が寄せられたため、ダム建設が直轄で取り上げられることとなりました。
三国川ダムは、昭和50年にダム実施調査に着手し、平成4年に竣工しました。
三国川ダムの役割
三国川ダムは、洪水調節、流水の正常な機能の維持のための流量の確保、水道用水の供給、水力発電を行うことを目的に作られました。
洪水調節
洪水時に上流からの河川流量をダムで調節することにより、下流の河川流量を低減させて洪水被害の軽減を図ります。三国川ダムでは、ダム地点における計画高水流量1,100 m3/sのうち1,000 m3/sを洪水調節し、破間川ダムや佐梨川ダム等(上流ダム群)と合わせて、魚野川の掘之内基準地点における基本高水流量6,000 m3/sを5,000 m3/sに低減させます。
流水の正常な機能の維持のための流量の確保
既得用水などの安定取水、観光、漁業、地下水の維持、日照りが続いて川に水が少なくなったときの流水
の補給、川の汚れを防ぐ水質保全、川からの塩害防止など、河川の流水の正常な機能維持が図られています。
水道用水の供給
安定した水道供給は暮らしにとって欠かせないものです。三国川ダムは、ダム下流にあたる南魚沼市に対して一日最大76,000 m3/日の取水を可能にしています。
水力発電
水力発電は公害のないエネルギーです。ダムに設置された東北電力(株)五十沢第二発電所では、最大出力9,100kWの発電を行っています。また、三国川ダム管理用の発電として、最大出力1,200kWの発電を行います。
三国川ダムの管理
三国川ダムでは、平常時のダムの管理として、ダム周辺の点検、水質測定、機械設備の点検、流量観測、ダム変位測定、浸透水の測定、警報局の点検、自然環境調査等を行っています。これらの点検や調整を行うことにより、いつでもダムが安全であるように管理しています。また、洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水の確保、発電などの機能を果たし、下流に安全・安心で豊かな水を供給するために、流量の調節のためのゲート操作、流域の雨量や水位・流量などの様々なデータの収集や施設の点検・整備などを行っています。
ゲート点検
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選択取水設備点検
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三国川ダム水源地域ビジョン
三国川ダムは、「地域に開かれたダム」として、地域の人々に親しまれ利用されるダムを目指して、整備、活動を進めてきました。三国川ダム水源地域ビジョンは、この大切な交流資源を生かしながら「水源地域の魚沼」の自立的持続的な活性化を図るため策定されました。
三国川ダムで開催される各種イベント |
監査廊の一般開放
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しゃくなげ湖祭り
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参考文献
三国川ダム管理所ホームページ :http://www.hrr.mlit.go.jp/saguri
基本データ
形 式:中央コア型ロックフィルダム
堤 高:119.5 m
堤 頂 長:419.5 m
総貯水容量:2,750万立方メートル
アクセス
自動車の利用:関越自動車道「六日町IC」から車で30分
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