地域の経済・生活を支える 眺望豊な「米山大橋」
柏崎市の市街部から上越方面へ約5kmの位置に架橋する「米山大橋」は、新潟と関西圏をつなぐ大動脈の国道8号を代表する橋梁の一つです。地形的にも海岸部に近い河岸段丘の間を建設当時には日本一とも言われた高さのある橋脚が支え、橋桁は緩やかなカーブを描き、赤く塗られた橋梁全体は周辺の景観にマッチし、シンボリティックなその姿は多くの観光ガイドやイベント写真・資料にも使われています。特に海側からの眺望は、バックに米山をのぞみ、海・山・橋が一体となってまた、海沿いにあるJR青海川駅は最も海に近い駅として知られ、夏の海水浴シーズンには多くの利用者が訪れ、橋下から米山大橋の雄大な姿に圧倒される方も多いのではないでしょうか。、心に響く景観を醸し出しています。
また、海沿いにあるJR青海川駅は最も海に近い駅として知られ、夏の海水浴シーズンには多くの利用者が訪れ、橋下から米山大橋の雄大な姿に圧倒される方も多いのではないでしょうか。
風にもめげません「米山大橋」
米山大橋にほど近い道の駅「風の丘」の名称にもあるように、米山大橋を含む米山地区の約6.2km間は、「特殊通行規制区間」に指定されており、強風により通行の危険があると考えられる場合は、通行止めとなる場合があります。この事前通行規制の指定は、昭和47(1972)年から現在も続いているものですが、風を対象とした規制というのは国内では米山地区の一箇所しかありません。現在では、通信設備を利用し、絶えず気象データや映像を入手し、必要な対応を迅速に行う体制を取っていますが、建設当時は、現地で気象等の観測を行う人の協力が欠かせなかったというのが実情です。これまでに強風を原因とした人身を伴う大規模な事故の発生が無いことや最近の10年では通行止めもありません。しかし、昭和47年以降、3度のトラックの横転事故が発生しており、昭和51年には連続11.5時間の通行止めが発生しています。
※事前通行規制(豆知識)
事前通行規制とは、豪雨や地震などの異常気象時に、土砂崩れや落石等の恐れのある箇所を被害が発生する前に通行を規制することです。 |
事前通行規制を行う区間には、一定の降雨量等に達した場合に通行規制する「一般通行規制区間」と気象・現地の状況等を判断して危険が予想される場合に通行規制する「特殊通行規制区間」があります。 |
二度の大地震に耐え抜いた「米山大橋」
平成7年の「阪神・淡路大地震」の被災を踏まえ、橋梁をはじめとする土木構造物の耐震性の向上は必須の課題となりました。米山大橋は、平成11年の現地調査において、経年劣化や塩害による損傷の進行が認められたことや耐震性が懸念され、補修・補強のための工法検討委員会での審議を踏まえ、大規模地震時において「致命的な被害を受けない」、「限定された損傷にとどめる」ことを目的に、平成15年から平成20年の間に補修・補強工事を進めてきたことで、平成16年の「中越地震」や震度6を記録した平成19年の「中越沖地震」においても通行止めとなるようなことはなく、その後の震災復興や生活道路としての役割を担い続けています。※落橋防止システム(豆知識)
震災時の落橋防止を目的として整備する、桁かかり長の確保、落橋防止装置、変位制限装置の設置等を総合して落橋防止システムと呼んでいます。 |
鋼橋に取り付ける落橋防止装置には、PCケーブル、緩衝チェーン等があります。 |
海と風の街柏崎そして・・「米山大橋」
米山大橋のある柏崎市では、「中越沖地震」後の震災復興を着実に進めてきており、柏崎の顔である海と風をテーマに「かしわざき風の陣」(総合イベント)、えんま堂での「えんま市」(約500店の露店が並ぶ)や「ぎおん柏崎まつり」(最終日には越後三大花火と称される花火大会を実施)が開催されています。また、柏崎西部のリアス式海岸部は、米山福浦八景県立自然公園として、日本海の荒波によって作り出された不思議な形の岩や洞窟が連続し、日本海の澄んだ青と相まって美しい景色が広がっており、代表的な八つの美しい景観から「福浦八景」と呼ばれています。米山大橋は供用から43年が経過していますが、地域経済や市民生活を支える重要な役割を担ってきました。二度の大地震を乗り越え、橋のリフレッシュも完了し、今後もその使命は変わることはありません。
参考文献
基本データ