第17回(平成22年3月11日)

周辺景観との調和を最新の橋梁技術を駆使して実現 グッドデザイン賞受賞の橋
                                 謙信公大橋(上越市)

上杉謙信公と謙信公大橋

謙信公大橋位置図  戦国武将、上杉謙信の居城であった春日山城のふもと、上越市春日地区を起点とする都市計画道路中屋敷藤野新田線は、一級河川関川に架かる謙信公大橋(橋長L=241.4m、幅W=28m)の完成により平成15年5月31日に全線開通しました。当路線はJR信越本線や関川により東西に分断された市街地を結び、市内南北幹線や北陸自動車道上越ICを繋ぐ幹線道路です。沿線には市役所・総合体育館・文化会館等の公共施設やJR春日山駅が立地している他、土地区画整理事業により市街地の整備が進められています。

景観への配慮とこだわり

 謙信公大橋の設計にあたっては、周辺の風景との調和を図ると共に、格調の高い空間をつくる橋として地元の有識者を含むデザイン懇談会を開催し、幅広い意見を聞きながらデザインしました。その結果、遠景の妙高連峰と調和した2連の弓形の形状をもつ形式(異径間単弦ローゼ桁2連)を採用しました。
 また、アーチの色彩については「雪景色に力強く、春秋に優しい橋」をコンセプトに、積雪時期には周辺環境から際立ち、その他の季節には風景と調和する「蒸栗色(むしぐりいろ)」を採用しました。
側面景観:周辺の風景と調和するアーチの色彩 橋上景観:河川管理用通路と一体整備された橋詰広場

特殊な架設(かせつ)工法

自走式多軸台車  謙信公大橋は1級河川関川に架かるため非出水期施工の制約があります。そのため、河川内に杭基礎によるベントを設置し、補鋼桁を架設しました。アーチ部は並行してアプローチ道路にて組立及び全断面溶接を行った後、300t編成のドーリー(自走式多軸台車)2機(4台)により補鋼桁上を運搬し架設を行いました。
架設状況

各賞を受賞

 (財)日本産業デザイン振興会主催のグッドデザイン賞において「長く使えるデザイン」「調和のとれた景観を提案している」など、謙信公大橋のデザインコンセプトと合致した項目で評価を受け、平成15年に新潟県の橋梁として初めてグッドデザイン賞(環境デザイン部門)を受賞しました。
 また、平成17年には、地域の環境や景観と調和する斬新なデザインや、最新の設計施工技術と今後の橋梁技術の発展に大きく貢献することなどが高く評価され、土木学会田中賞(作品部門)を受賞しました。

未来にむけて

 当路線が全線開通し、関川両岸の地区が直結されたことにより、都市機能が集積する拠点地区としての骨格が完成しました。今後も上越業務拠点地区の整備による更なる都市機能の集積が見込まれており、謙信公大橋がシンボルブリッジとして地域の発展に大きく寄与するものと期待し、永く親しまれる橋となることを願っています。

参考文献

  • グッドデザイン賞公式ブログ:
  • 日本橋梁建設協会HP:

    基本データ

  • 路線名:主要地方道上越安塚浦川原線
  • 形 式:2径間単弦ローゼ橋
  • 橋 長:241.4m
  • 幅 員: 28m
  • 竣 工:平成15(2003)年
  • 事業費:103億円

    アクセス

  • 上越市藤野新田
  • JR直江津駅より 車約10分(L=4km)

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