第39回(平成24年5月9日)

日本最大級の"揚水式水力発電所"
    奥清津発電所・奥清津第二発電所(湯沢町)

 ここ湯沢は川端康成の「雪国」の舞台となった事で有名ですが、この地に日本最大級の"揚水式水力発電所"が有る事は御存知でしょうか。建設当時を振り返り紹介したいと思います。

日本経済を支える大規模揚水式水力発電所

カッサ・二居冬期空撮  「奥清津発電所」は上下に二つのダム、カッサダム(カッサ調整池)を上池とし、二居ダム(二居調整池)を下池として、その間の有効落差470mを利用することで、最大160万kWの発電を行なっています。電力需要の大きい日中は、上池から下池に水を落として発電し、電力需要の少ない夜間は、ベース電源で起こした電気を利用し、下池から上池へと水を汲み上げ翌日に備える。これによって、発電設備全体の効率を上げることができます。奥清津発電所・奥清津第二発電所の両発電所で作られた電気は、全て東京電力の送電線に乗り関東方面へと送られていき、首都圏のピーク時の電力需要を担う重要な発電所として活躍しています。




【奥清津発電所および奥清津第二発電所配置図】
奥清津発電所および奥清津第二発電所配置図
【揚水運転のしくみ】
揚水運転のしくみ

奥清津発電所の建設

 奥清津発電所地点は、九電力会社の共同調査の所産として開発された地点で、信濃川水系清津川支川カッサ川の最上流にカッサダムを、本流の上部に二居ダムを築造し、その落差を利用した、100万kWの純揚水発電所として計画され、昭和46年6月第55回電源開発調整審議会に付議され、昭和46年12月着工のはこびとなりました。
 奥清津建設所は昭和47年4月開設され、工事は上池を主体とする第1工区と、下池や発電所を主体とする第2工区とに分け、雪融けを待って開始されました。当地はわが国有数の豪雪地帯であり、現場は半年以上が雪におおわれるため、雪との戦いでした。 毎年、3月下旬から4月にかけて、工事現場内および林道の除雪を行いました。気温の上昇に伴い、雪崩が発生する危険があったことから、雪崩発生危険箇所を事前に調査し、人工雪崩を発生させる等して作業の安全を図りました。
 工事は地質の悪さが最大の障害になりました。上池の場合火山灰地特有の軟らかいローム質のため、雨が降ると泥土と化し、ダンプトラックやブルドーザーが思うように動けなくなりました。また、下池の場合は地中の熱水によって粘土状に変質した岩盤が縦横に走っていて、工事の進行を阻害しました。
 このように、地質条件に恵まれない地点ではありましたが、逆に火山噴出物の堆積層を基礎とする高さ100m級の初のダムとして、当時は土木技術界の注目を集めました。
カッサダム 二居ダム

水圧鉄管  また、調圧水槽と発電所を結ぶ水圧鉄管は、揚程500m以上の水圧に耐える強さが要求されたため、管胴の約55%に80kg/mm2超高張力鋼が採用されています。 計画どおりにいけば昭和52年6月から53年6月にかけて4台の発電電動機が順次運転を開始する予定でしたが、48年の石油ショックをはさみ、電力需要の伸びの低下による工事の繰り延べが有り、昭和53年に1・2号機が運転を開始、昭和57年に3・4号機が運転を開始し、25万kWの発電機4台を持つ100万kWの発電所が完成しました。



奥清津第二発電所建設の再開発

 奥清津第二発電所は、平成2年度に建設計画が具体化されました。この年は、夏期の最大需要電力が前年度比で約12%増という記録的な増加を示し、至近年度の需要と供給力の逼迫が予測されるなか、平成8年度以降のピーク対応の緊急開発電源として、この計画が浮上しました。既設発電所のダムの貯水容量にまだ余裕があったため、ここに発電所を建設すれば、ダムの新設にかかる工期を省き、平成8年度の夏までに完成出来ると判断されました。最大出力での継続運転時間を従来の12時間から7.6時間とし、60万kWの出力増加を図るもので、例えて言えば、砂時計の穴の径を大きくしたわけです。
 今回の工事は、前記したように有数の豪雪地帯で、かつ、既設の設備と隣接した場所で行なわれ、さまざまな制約の中で、3年8ヶ月という異例ともいえる短い工期で仕上げることが最大の課題でした。最大のポイントは、土木・建築・電気が並行作業を行なったところです。工事現場が錯綜することから、日々綿密な打合せをするとともに、構造的に安全を守るための工夫がされました。
奥清津第二発電所  トンネル工事の特徴は、3本の作業トンネルを掘ったことで、それにより調圧水槽立坑を含めて10ヵ所から、トンネル掘削工事を一斉に始めることができました。掘削工事では、それぞれの工事条件に合わせて、レイズボーラー、アリマッククライマー、ロードヘッダーを使用しました。また、新しい取組として、フライアッシュを主体とする高流動コンクリート(FEC)をトンネル内詰込コンクリートとして使用し、省力化を図りました。また、斜坑部の鉄管据付では、自動溶接機を4台同時に使用し工程確保を図り、電気工事ではケーシングの分割方法を見直すなど、現場での溶接を減らすよう努め、工程短縮を図る等数々の工夫を凝らし、一つ一つは小さいことですが、これらを集積することでかなり工程を短縮することができました。
 また、奥清津第二発電所では、「発電所開放」を実施しています。地域と発電所との共生の観点および地元からの要望も有り、特別に展示館を建てるのではなく、本物の発電所をそのまま見せようという構想です。発電所内では回転軸まで見てもらえる工夫をしています。また、工事用のトンネルを利用して、水圧鉄管にも触れることができ、現在も「電力のミュージアムOKKY(オッキー)」として多くのお客様に御覧戴いております。
 詳しくは、ホームページ http://www.jpower.co.jp/okky/ を御覧下さい。

三国街道の宿場町

 発電所は、越後湯沢駅より国道17号を三国峠方向に向かい約30分、田代スキー場田代ステーションを右に折れ、町道二居奥清津線を暫く行くと奥清津トンネルを抜けます。トンネルを抜けるとそこは別世界です。また、ロープウェーを利用され、OKKYを見下ろしながら進み、田代湖(カッサ調整池)および廻りの連山を御覧戴く事もお勧め致します。 湯沢町は、開湯800年越える歴史が有り、江戸時代には江戸と新潟を結ぶ三国街道の宿場町として栄え、多くの旅人の疲れを癒してきたところで、散策と温泉、山歩きと温泉、食と温泉など組み合わせが可能なのも魅力です。
 世界的に有名なスキー選手が、良い雪を求めて世界中を探していたが、ここにこんな良い雪があったと語らせたスキー場もあります。詳しくは、湯沢町観光協会のホームページ http://e-yuzawa.gr.jp/ を御覧下さい。

基本データ

  • 所在地:新潟県南魚沼郡湯沢町大字三国字土場山502
  • 河 川:カッサダム:信濃川水系清津川支流カッサ川
          :二居ダム:信濃川水系清津川
  • 目 的:発電(純揚水式発電用)
  • 型 式:ロックフィルダム
  • 堤 高: カッサダム:90m、二居ダム:87m
  • 堤頂長:カッサダム:487m、二居ダム:280m
  • 堤体積:カッサダム:445万立方m、二居ダム:235万立方m
  • 満水位:カッサダム:1,306m、二居ダム:825m
  • 総貯水容量:カッサダム:1,350万立方m、二居ダム:1,830万立方m
  • 有効貯水容量:カッサダム:1,140万立方m、二居ダム:1,140万立方m
  • ダム事業者:電源開発(株)
  • ダム湖名:田代湖(たしろこ)、二居湖(ふたいこ)
  • 発電所形式:ダム水路式(純揚水式)
  • 最大出力:100万kW(奥清津発電所)、60万kW(奥清津第二発電所)

    アクセス

  • 自動車の利用:
      関越自動車道・湯沢ICより国道17号線で東京方面に20分。
      田代スキー場田代ステーションを右に折れ約1分。
  • 公共交通機関(バス)利用:
      JR越後湯沢駅より越後交通バス「浅貝」行きを利用、所用時間40分。
      田代スキー場下車、徒歩12分。

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