第16回(平成22年2月19日)

西川下流域の浸水被害を軽減  西川排水機場(新潟市西区)

西川とその周辺

 西川は、大河津分水路から分かれて蒲原平野の西側を流れ、新潟市で再び信濃川に合流する、長さ44.5kmの1級河川です。江戸時代には、新潟と長岡を結ぶ舟運が栄え、物資の輸送、交通路として重要な役割を果たしました。
 流域は、弥彦山や角田山が連なる山系と、海岸に沿って発達した砂丘の背後に広がる田園地帯となっています。かつて西川の両岸には大小の潟が点在し、広大な低湿地が広がっていたため、その排水対策に人々は頭を悩まされ続けたのです。
 西川下流域は、全般に地盤が低く、更に昭和30年代初めより生じた地盤沈下によって最も激しい地区でT.P.-1.9mまでも下がり、極端な天井川を形成しています。また、昭和40年代から急激な市街地化が進展し、大雨が降って河川などが氾濫した場合、自然に水が引きにくく、水があふれるとポンプでくみ上げるしかない状況にあり、実際、西川への自然排水はまったく不可能で、すべてポンプによって強制排水しています。
西川下流域の概要

西川排水機場の必要性

西川排水機場  西川下流域では、関屋分水路事業の一環として、1973(昭和48)年に信濃川との合流点に信濃川からの逆流防止を目的とした西川水門が設置されました。
 その後、1978(昭和53)年6月26日の洪水で市街地一帯に洪水被害が生じたため、西川排水機場の建設を計画、排水量40m3/sで1994(平成6)年までに段階的に整備されました。
 しかし、1998(平成10)年8月4日、新潟市域を襲ったかつてない集中豪雨は、西川へ排水を行うポンプの処理能力を超え、西川流域にたいへんな被害をもたらしました。この水害を契機として、西川排水機場の排水能力が40m3/sから65m3/sに増強され、今日の私たちの生活を守っています。

西川排水機場の概要

 西川排水機場は1973(昭和48)年に西川水門が完成し、その後、1994(平成6)年までに1〜5号機のポンプが完成、2004(平成16)年に6号機のポンプが完成して今のかたちになっています。1〜5号ポンプ機場は、排水スピードを速くしたり、操作をしやすくする工夫をしています。また、最新の6号ポンプ機場でも、小型化や自動化などさまざまな新技術を採用しています。
西川排水機場の仕組み

西川排水機場の効果

 1998(平成10)年8月4日に新潟市を襲った集中豪雨は、新潟地方気象台観測史上最大の60分間降水量97mm、日降雨量265mmを記録しました。西川流域でも、ポンプの排水能力を超えた降雨により、近年急激に宅地化が進んだ坂井輪地区をはじめ、広い範囲で浸水被害が発生しました。
西川排水機場の能力アップ、新潟県が行う堤防の強化、新潟市による雨水下水道の整備やポンプ場の新設という一体的な取り組みによって、H10.8.4と同規模の豪雨があった場合でも、床上浸水が解消されるなど浸水被害を大幅に減らすことができます。
【左:事業前の浸水被害状況。右:事業による浸水被害の軽減】

参考文献

  • 信濃川下流河川事務所ホームページ: http://www.hrr.mlit.go.jp/shinage/

    基本データ

  • 河 川 名: 1級河川信濃川水系西川
  • ポンプ能力: 毎秒65立方m(毎秒 5立方m×2台、毎秒10立方m×3台、毎秒25立方m×1台)
  • 排水樋門 : 3.7m×3.7m×2門
  • 竣   工: 1,2,3号機【昭和59(1984)年3月】、4号機【平成4(1992)年7月】、5号機【平成6(1994)年3月】、
             6号機【平成16(2004)年3月】

    アクセス

  • 住    所: 新潟市西区小新1丁目3−1(JR新潟駅南口より 車で約30分)
  • 公共交通機関: 新潟交通バス 万代シテイバスセンター発大野行又大野経由潟東営業所行、
               大野・味方経由潟東営業所行、大野経由木場小学校前行 平島バス停下車 徒歩約5分

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