第6回(平成21年11月30日)

新潟市の『セントラルパーク』 日本最初の都市公園  白山公園(新潟市中央区)

日本最初の都市公園

ラジオ塔(写真中央)と水面いっぱいに広がるハスの葉の緑が印象的な風景を作りだしている蓮池  新潟市の白山公園は、明治6年に明治政府より布告された太政官布告第16号に基づき開設された25箇所の日本最初の都市公園の1つで、当時の県令楠本正隆の命により、白山神社境内に開設されました。白山公園のある辺りは、江戸の頃より信濃川のほとりに位置し、松原がみられ、遠くは弥彦山・多宝山、越後山脈が見渡すことのできる景勝地でした。県令である楠本は、元々あった蓮池を活かしながら、築山を施し、花壇や樹木、庭園や灯籠を配して、園内を整備しました。
 人々が集うようになった園内には、竹内式部や鏡淵意伯などの文化人や教育者として活躍した先人たちを顕彰する碑が立てられるようになりました。また、昭和天皇も皇太子時代に行啓された際のお手植えされた松がいまも園内にあります。
 現在でも、回遊式庭園となっている園内では、これらの歴史を偲ぶことができる稗などがあり、年輪を重ねたクロマツ・シダレヤナギ、一面緑におおわれる蓮池などから四季折々の風情が感じられ、多くの市民に憩いを提供しています。

新たなる姿へ

サクラ(手前)のピンクとマツ(右奥)の緑が対照的な春の白山公園(りゅーとぴあ屋上より撮影)  昭和から平成に時代が移って間もなく、白山公園の拡充事業が動き出しました。平成4年には、公開提案協議が行われ、設計企業の決定と施設の設計が行われました。平成7年より拡充工事を着手し、平成11年には、屋上緑化が施された新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)をはじめとして各文化施設を取り巻くように、水辺空間、緑地空間が整備された6つの空中庭園が生まれました。
 空中庭園は、かつて信濃川に浮かんでいた浮島を再現するように、6つの空中庭園が点在しています。空中庭園は、駐車場の上に浮かぶように造られた庭園のことで、高さはおよそ地上から6mです。また、りゅーとぴあ2階のロビーと空中ブリッジでつながっています。また、敷地全体を林で被い、りゅーとぴあの屋上にも緑化を施しています。屋上からは、信濃川のすばらしい景色を楽しむこともでき、心地よい風を感じる散策の場となっています。
 現在は、春になると空中庭園のサクラのピンク(160本)と白山神社側のマツの緑(約200本)とのコントラストがとてもきれいです。夏には、林の生命感あふれる緑を愉しめます。秋には木々の紅葉が愉しめ、冬には梅を見ることができます。空中庭園には、水路や滝など水辺にも親しめます。このような緑地空間、水辺空間により、多くの市民がいこいとやすらぎを求めるために利用され、新潟市のセントラルパーク的な公園となっています。  また、白山公園は、白山神社側の1.9haと空中庭園の5.1haをあわせた7.0haの地区公園であり、「日本の歴史公園100選」、「日本の都市公園100選」に選ばれるなど、新旧の公園がひとつとなっているめずらしい公園です。

参考文献

  • 新潟市編:新潟歴史双書「白山公園あたり」

    基本データ

  • 所 在 地:新潟市中央区一番堀通1番地2
  • 公園種別:地区公園
  • 面  積:7.0ha
  • 主な施設:昔を偲ぶ史跡、石碑が点在
            楠木正隆像(白山公園を創設した新潟県令)
            蓮池、ひょうたん池、ラジオ塔
            梅林、松200本、桜160本
            登録文化財「燕喜館」(明治期の大商家斉藤家の邸宅一部を移築再建)
            6つの空中庭園(広場やステージではイベントなども可能)

    アクセス

  • JR新潟駅よりバス(市役所前)下車徒歩3分
  • JR白山駅より徒歩20分

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